上場企業サイボウズのルールを変えた途中入社の男:複業人(3)
サイボウズというIT系ベンチャー企業も、かつては副業禁止の会社でした。
ところが現在、副業解禁した会社の成功例・モデルケースとしてメディアから注目を集めています。
サイボウズが副業解禁したキッカケは、たった1人の途中入社の男でした・・。
サイボウズを副業解禁に向かわせた男とは?
千葉に住む農家の中村龍太さんは、月曜日になると日本橋にあるシステム開発会社「ダンクソフト」で営業担当の社員として働き、火~金曜日はソフト会社の「サイボウズ」で企画担当社員として働いています。
農家、営業、企画と、3つの仕事をする中村龍太さんの入社がキッカケで、サイボウズは副業解禁へ動き始めたのです。
複業をはじめたキッカケ
中村さんの前職は、外資系大手IT企業でした。実績・給与も満足でなんの不満もなかったそうです。
48歳の時、会社のキャリア面談で「この会社で何がしたいの?」と問われたことが、中村さんが複業を始めるキッカケだったそうです。
中村さんが、次の5つのことをやりたいと考えました。
- 学校へのIT導入
- 中小企業支援
- 地方活性化
- 農業
- 研究者
自分のやりたいことは、ひとつの会社では無理だ!
そう気づいた中村さんは、サイボウズとダンクソフトの社長に会い「2つの会社で働きたい」と伝え、認めてもらえたそうです。
収入は4割下がります。当時、大学生の子どもが2人おり、当然奥さんからは大反対されましたが、2013年に転職し複業人になりました。
その1年後に農家も始め、経営情報学会へも所属し、研究者として地域活性化の論文も発表。5つのやりたいことをすべて実現したのです。
48歳から複業人をめざし、短時間で実現させるという気持ちが、サイボウズの青野社長に伝わり、サイボウズという会社も変えてしまいました。
サイボウズ社長の名言「副業禁止を禁止しよう」
サイボウズの青野社長が2016年にnoteというプラットフォームで発表した、「副業禁止を禁止しよう」という発言は、ものすごく話題になりました。
fukugyoworker.hatenablog.com
2006年ごろに、入社して2年目の社員が副業したと話してきたときは、副業反対派だった青野社長。
ところが、2012年に「副業原則許可」となります。
その理由は、中村龍太さんが「サイボウズには週4日しか出ません」といったことがキッカケになったと語っています。
サイボウズはこの人を受け入れられるのか?
青野社長は、副業についての固定概念を変えて、中村さんを受け入れることにしました。
サイボウズの離職率は脅威の4%!
この決断により、サイボウズの働き方改革は社員の指示を得て、サイボウズの離職率は4%に下がっています。
転職率が高いIT業界で、離職率4%は驚異的な数字です。サイボウズの働き方改革が、どれだけの価値があるのかは、この数字が物語っています。
名もなきひとりの複業人が起こしたトレンド
サイボウズで副業解禁というトレンドを起こした中村さんですが、ご本人自身は、収入も減り、週7日働いています。複業人には、労働基準法とか関係ないですからね。
けれど、夢を実現した中村さんは、満足してるのでしょうか?
いいえ決して満足することなく、また違う夢を追いかけているに違いありません。
名声も求めず、ただ自分のやりたいことをやっていくのが複業人なのですね。
わたしと同世代の、カッコいい複業人のおはなしでした。