会社は変わる。副業禁止の会社が今は働き方改革の推進社?
サイボウズというIT企業をご存じですか?
1997年に設立したITベンチャーで、青野慶久(あおのよしひさ)氏は2005年から社長を勤め、働き方改革や夫婦別姓問題を提唱し改革派として有名な方です。
サイボウズは、いまでこそ働き方改革のモデル企業として有名になり、テレビや新聞で取り上げられています。ですが青野社長に就任した当時は、副業禁止の会社でした。
会社は経営者の考え方ひとつで、180度変わることもあるのです。
なぜサイボウズは、副業解禁の会社に変わったのでしょうか?
サイボウズではじめて副業を申請した社員の勇気
以前の記事で「副業したいのなら会社に副業申請してみれば良い」と書きました。⇒あなたの会社は本当に副業禁止なの?就業規則を確認してみよう。
偶然ですが、サイボウズではじめて副業を申請した方にお話を聞いたことがありました。その時聞いた話では、「副業を申請した際、社長や副社長から反対されて大変だった」と言っていたのを覚えています。
その時のことを、青野社長は社内のインタビューで答えています。
2006年くらいの話で、入社されて間もない2年目の社員が副業をしたいと話してきたことがあったんです。まだ1人立ちしているとは言い難い段階で、サイボウズ以外の仕事を週末にやりたいという話がありました。
副業申請した方からは「猛反対された」と聞いていましたが、少しニュアンスが違います。けれど青野社長は、副業反対派だったと認めています。
副業に反対した理由は、
- 副業に逃げて、本業に気持ちが入らないのではないか
- まだ、周りから助けられて仕事をしている入社2年目という立場
- 今副業をすると「虻蜂取らず」になってしまわないか
という理由でした。2006年当時では、一般常識として言われていたことが理由でした。
なので、「その時は副業を承認できませんでした」と青野社長は答えています。
とはいえ青野社長の心に、「本当に副業に反対すべきなのか」とモヤモヤしたものが残ったそうです。
いづれにしても、サイボウズも2006年当時は「副業禁止」の企業だったのです。
「副業禁止」を禁止する!と宣言した社長
サイボウズは、2012年から「副業原則許可」になりました。
きっかけは、ある中途入社の方からの提案がだったようです。
その方は、入社するにあたり「サイボウズには週に4日からきません」と宣言したそうです。その発言に青野社長は、モヤモヤしていた副業のことを改めて考えたそうです。
サイボウズはこの人を受け入れられるのだろうか?
青野社長と山田副社長は「副業を認めよう」と腹をくくり、すべての副業を認める決断を下しました。
その後青野社長は、2016年4月に「副業禁止」を禁止しよう!を発表しました。
サイボウズでは「副業」ではなく「複業」と呼ぶ
副業を認めたサイボウズでは、サイボウズの仕事が「主業」でなくてもよいとしたことで、社内では「副業」ではなく「複業」と呼んでいるそうです。
本ブログのタイトルを「複業」としているのも、サイボウズの思想に影響を受けています。
現在サイボウズというIT企業は、さまざまな業種で複業する社員が増えています。これはIT企業として、本当に使えるサービスを開発・提供できる、多種多様なユーザーの知識・知恵・知見を吸収したことになります。
サイボウズは、「複業禁止」を禁止することで、お金では買えない多くのものを手に入れました。
多くの企業はなぜ、会社にとっての
「複業のメリット」に気づかないのでしょう?